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筆者には4つ離れた妹がいる。
同じ両親から生まれた割に、顔も似ていなければ性格も全く似ていない。学生時代の得意教科などは理系と文系で正反対だったし、競馬予想では血統を武器にしておきながら、自身のことを思うと「血統とは一体……」と思ってしまうことは多々ある。
そのせいか、今回フローラSを制したアドマイヤベルが、2017年のヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリードの妹と聞いても、正直なところピンと来なかった。
ステイゴールド産駒らしく430kgの小柄な馬体で、気の強さを感じさせた姉に対し、スワーヴリチャード産駒らしいムチムチした感じの480kgの馬体で、どこかのんびりした雰囲気を感じる妹。私たち兄妹と異なり、父が違うのだから当然と言えば当然だが、それにしても似ていない。
そんな妹が、8年越しに姉のリベンジを果たすためにオークスへと駒を進めたのだから、やはり長く見れば見るほど競馬というものは面白さが増していく。
レースはオッズが示す通り、混戦という雰囲気で始まった。
ここまでの3戦、あまりスタートが良くなく、序盤は後方の位置にいることが多かったアドマイヤベルだが、今回は無難なスタートから自然体で好位を確保。折り合いもスムーズで十分に脚を溜めると、直線ではこれまで通りのしっかりとした末脚を披露。前を行く馬たちの争いをまとめてねじ伏せるように、残り200mから一気に抜け出し、しっかりと後続に着差をつけての快勝。イメージ以上の能力差を見せつける結果となった。
デビューから1800m、2000m、2000mと中距離を使われ、早い段階からオークスを意識するようなローテが組まれていたアドマイヤベル。
2戦目の百日草特別では、先日の皐月賞でも見せ場を作ったアーバンシックに次ぐ末脚を発揮しており、単純に牝馬限定の中距離戦では力が上だったということだろう。
姉のアドマイヤリードは桜花賞5着からオークスに挑み、15着と大敗したが、前述の通り本馬と姉は完全に別タイプ。折り合いも含めたレースぶりや刻んだラップから、2400mに距離が伸びても不安は少ないはず。
指数的には勝ちっぷりの割に控えめな数字だったが、今年は桜花賞も例年に比べるとかなり低めのレベルだっただけに、割って入る可能性は十分にありそうだ。
2着のラヴァンダは、不完全燃焼だった前走・チューリップ賞の鬱憤を晴らす好走。
距離が延びても早い段階で折り合いが付いていたし、開幕週の好位インという絶好の位置で運べたことも大きかった。今後の選択肢を大きく広げる好走だったと言えるだろう。
ただ、アドマイヤベルとは力差を感じる内容だったし、シルバーステート産駒の牝馬は距離適性がやや短めに出ている印象が強い。さらに距離が伸びるオークスではあまり強気になれないが、マイル~2000mあたりで安定するのではないだろうか。
3着のカニキュルは広いコース向きの大きなストライドを持つ馬。不器用さは残すが、現時点における自分の走りはしっかりとできている。
こちらは父がエピファネイアなので、ある程度距離延長への耐性が高そうに映るが、母のシャルールや兄のトランキリテ、近親のアーデントなど、同じ母系出身の馬はマイル~1800mがベストという馬が多い。本馬も後方から進めた割には前進気勢の強さを見せていたので、似たようなタイプに成長していく可能性が高そう。
4着のクリスマスパレードは、外枠から好位を主張したこともあってか、序盤はかなり力みが目立った。直線は直線で初めての左回りが影響したのか、モタれたり内にヨレてしまったりと若さを露呈。前2走に比べるとスムーズさを欠いた内容となった。
それでも僅差の4着には残しているので、能力は高いものを秘めていそう。今後の成長に期待がかかる。
5着のトロピカルティーは、直線でエンジンに火が点くまでに時間を要し、その間にアドマイヤベルに先を行かれた。母は2500mのG1ウイナーであり、本馬もゴールが近づくにつれて脚色が増していたように、距離はもう少し長くてもいいかもしれない。自己条件ならすぐに出番が来るだろう。
一方、最終的に一番人気に推されていたバロネッサはいいところなく7着。
不安視されていたスタートがあまり良くなかった上、挽回しようと出していったところで他馬と接触。その後はかなり力みの強い走りとなり、完全にスムーズさを欠いた格好になった。
気性やスタートなど、怪しい部分はまだまだ多いものの、未勝利勝ちのレベルが極めて高いのは間違いないだけに、順調ならば再度重賞の舞台に戻ってくるはず。仕切り直しての反撃に期待したいところだ。
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