霧
にしのけいご
第16回函館スプリントS(5日、札幌9R、サマースプリントシリーズ初戦=全5戦、GIII、3歳上オープン国際、別定、芝1200メートル、1着本賞金4100万円=出走16頭)牡馬も古馬も撃破してタイトルゲットぉ~! 熊沢重文騎乗のグランプリエンゼルが3番手追走から直線で抜け出し、1番人気に応えて快勝。レースレコード決着だったNHKマイルC3着の実力を見せつけた。3歳牝馬の優勝は同レース初。1分8秒5(良)。サマースプリントシリーズ初戦を飾ったエンゼルの今後の活躍が楽しみだ。なお、2番人気で3位に入線したエーシンエフダンズは他馬の走行を妨害し8着降着となった。 夏の短距離女王に向けて好発進を決めた。サマースプリントシリーズの第1弾は、1番人気のグランプリエンゼルが3番手の外めから直線で力強く抜け出し、重賞初制覇を達成。牝馬の優勝は16回中9回目だが、3歳馬は初。前走のNHKマイルCで3着だった力は、古馬相手でも一枚上だった。 「スタートがいい馬。無理しないでいい位置で競馬ができた。きょうは反応が良すぎるくらいだったからね」。熊沢重文騎手は汗を拭いながら振り返った。「最後にたれる馬ではない。辛抱してくれると思っていた」。コンビを組んで3戦3勝となったパートナーに全幅の信頼を寄せる騎乗で、05年阪神JF(テイエムプリキュア)以来の重賞25勝目を飾った。 前走のNHKマイルCは京都で障害の先約があり、内田博幸騎手に手綱を譲った。だからこそ、ふだんは乗ることのない51キロの斤量でも、ほとんど行かない札幌でも、自らが騎乗を志願した。 「どうしても乗りたかった。それだけの値打ちがある馬ですから」。レースが決まった1カ月前から少しずつ減量をして約5キロ、49.5キロまで体重を落として、その顔つきは精悍になっていた。41歳、筋肉質の体にはきつかったはずだが「そうでもなかった」と涼しい顔。「(減量して)競馬で力を出せないようではダメだから」。前の週の時点で51キロに乗れる体を作り上げてきた執念は、北の大地で実った。 「クマちゃんが乗ってくれると言ったのには驚いた。信頼している」。そう話していた矢作芳人調教師も「狙っていたレースを獲れて嬉しい」と笑顔。北海道浦河・シュウジディファームに放牧に出て、シリーズ4戦目キーンランドC(8月30日、札幌、GIII、芝1200メートル)へ。最終戦、セントウルS(9月13日、阪神、GII、芝1200メートル)も視野に入れる。「これからはこの馬と同じスケジュールで行きます」と熊沢。クマ&エンゼルの名タッグはサマースプリント4年連続となる牝馬の王者を目指す。(下村静史)