過去5年で逃げ馬が4勝。瞬発力よりスピード&パワーで押し切るタイプに向くレースだ。
外国馬3頭で一番手に挙げたいのがラッキーナイン。父はジャックルマロワ賞など1400メートル&1600メートルでGI3勝を挙げたドバウィで、母の父も01年2着メジロダーリングの父グリーンデザートとスピードに特化した配合だ。日本で走っている2歳の半弟サドンストーム(父ストーミングホーム)もすでに短距離で2勝。日本の芝適性はもちろん、高齢まで活躍する香港馬では4歳と若いが、完成度も高いはずだ。
今年、国際GI2勝と一段と強さを増したシンガポールのロケットマンは、半兄アワジャイアント(父ジャイアンツコーズウェイ)も南アフリカで1200メートルと1600メートルでGIをそれぞれ1勝。父ヴァイカウントも現役時に豪州で1400メートル&1600メートルのGIを3勝と活躍。父の系統がこのレースでの実績がないためラッキーを上位にみるが、スプリンターとしての資質は相当に高い。
昨年7着のグリーンバーディーは、01年2着メジロダーリング、09年2着ビービーガルダンなどで好相性を見せるダンジグ系のキャットバード産駒。ただ、もう8歳で上積みは望めない。
日本馬ではダッシャーゴーゴーが有力。父サクラバクシンオーはこのレースを93、94年と連覇した日本を代表するスプリンターだった。産駒は意外にもこの中山GIに縁がなかったが、ここにきて09年にカノヤザクラが3着、ダッシャーゴーゴー自身も昨年2位入線(4着降着)している。年を重ねるごとに強さと速さを増していった父のように、ダッシャーには昨年以上の走りが期待できる。
サマースプリント王者に輝いたエーシンヴァーゴウは、父がフェアリーキング系という点で昨年の優勝馬ウルトラファンタジーと同じ。ダート色の強い母系だけにパワーは豊富で、直線の急坂もまったく苦にしない。
重賞3連勝中のカレンチャンは半兄スプリングソング(父サクラバクシンオー)が京阪杯を勝つなどスプリント路線で活躍。兄は平坦向きだったが、父がサクラバクシンオーからクロフネに変わって妹はパワーが増している。ただその分、速い時計の決着に対応できるかが課題だ。 (血統取材班)