一説には３頭立てなのではないかとも噂されている、今年の桜花賞。チューリップ賞組２頭もまったく底を見せていないのだが、驚くべきはそれらをまったく寄せつけない(５)メジャーエンブレムの人気だろうか。

たしかにクイーンカップは内容的にも強かった。しかしそれでも、(５)メジャーエンブレムで絶対大丈夫と言いきれるほど、チューリップ賞組も弱くはないのがポイント。今年のチューリップ賞自体、例年よりもレベルは高かったと思う。

チューリップ賞の上位２頭が(５)メジャーエンブレムのオッズに迫れないのは、(12)シンハライトも(13)ジュエラーも同タイプ、評価されるレースも同じチューリップ賞であるだけに、どちらを選べば良いかが分からないからではないか？

そこで人気が分散してしまっているのだろう。もし仮に(12)シンハライトか(13)ジュエラー、どちらか１頭が離脱していたら、その票の多くは(５)メジャーエンブレムではなく、残ったもう１頭のほうに流入しているような気がする。

その場合、試算してみると単勝支持率は３０％弱。(５)メジャーエンブレム単勝１．４倍に対して、２．８倍～３．０倍程度になるはずだ。(12)シンハライトと(13)ジュエラーの序列が明確に付けられる人は、このオッズを基準に考えてみても良いかも知れない。



次に桜花賞というレースの質について語ろうか。阪神ジュベナイルフィリーズとチューリップ賞、そして桜花賞はすべて阪神芝１６００ｍという同一コースで施行されるのだが、それぞれのレースにはちょっとした特徴がある。

阪神ジュベナイルフィリーズを基準にすると、少頭数のチューリップ賞はスローからの瞬発力勝負になりやすく、それでも求められる瞬発力は阪神ＪＦと同程度。阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬の３馬身後ろから、同程度の末脚を見せれば勝てる計算になる。

一転して、桜花賞は阪神ジュベナイルフィリーズと同程度のペースで前半が流れる。そして求められる末脚は阪神ＪＦよりも２馬身先。つまり桜花賞はチューリップ賞より二枚も三枚も上の能力が求められるレースということになる。



と、これは例年レベルを平均した３レースの話。たとえば２０１５年桜花賞なんかは超が付くほどのスローだったし、年によってのバラつきは当然ある。そういう観点で言うと、今年のチューリップ賞も異質。要はトライアルらしいスローからの直線勝負にならず、例年の阪神ジュベナイルフィリーズや桜花賞以上のハイペース、それでいて瞬発力も求められるハイレベル戦になったということだ。

今年のチューリップ賞レベルはかなり高い。しかしそれでも、(５)メジャーエンブレムはそれよりさらに上と考えている。ただし、その差は逆転不可能なほどかと言われれば、そうでもない。かなり限定的ではあるが、逆転も不可能ではない。(５)メジャーエンブレムは、どんな競馬をしても勝てるという馬ではない。



それでは本題に入ろうか。(５)メジャーエンブレムの本領は、言うまでもなく前走のクイーンカップ。あのレースは本当に強かった。あのレースをされれば(12)シンハライトであろうと(13)ジュエラーであろうと、まったく太刀打ちはできないだろう。前日最終・単勝１．４倍のオッズは、それを前提に構成されているものと思われる。

しかし、今回の(５)メジャーエンブレムが、クイーンカップと同じようなレースをするのかと考えた時、そこには大きな疑問が残ってくる。「阪神芝１６００ｍ」は、コース形状から基本的にスローになりやすい。桜花賞が阪神ジュベナイルフィリーズやチューリップ賞より速いというのは、あくまで同コースのレースと比較しての話だ。

クイーンカップの競馬を見せられて、それでも(５)メジャーエンブレムを積極的に追いかけていく馬がいるのだろうか？　東京芝１６００ｍではなく、阪神芝１６００ｍで単騎逃げとなれば、鞍上心理としてはスローに落として直線に余力を残したいはずだ。少しでもそういう考えが頭をよぎるようなら、それはもう「クイーンカップのような競馬」ではなくなってくる。

次に、(５)メジャーエンブレムは無敗の馬ではない。現実に「逃げてマイペース」に持ち込んだアルテミスステークスで、(７)デンコウアンジュに完敗しているのだ。先手を取ってスローに落とし、上がり３ハロンは３４秒２。レースの構成としては、クイーンカップよりもこちらのほうがよほど模範的。要するに、言い訳の利かない“正攻法”で完敗を食らっているということ。

繰り返す。(５)メジャーエンブレムは、どんな競馬をしても勝てるという馬ではない。阪神芝１６００ｍのコース形状から考えるに、今回(５)メジャーエンブレムの競馬は、クイーンカップではなく、アルテミスステークスに近くなる可能性が高いのではないかと考えている。(７)デンコウアンジュに完敗したアルテミスステークスに。

そのアルテミスステークスは(７)デンコウアンジュの末脚が（偶然的要素も含めて）ピタッと嵌まった形。２着の(５)メジャーエンブレム自身も桜花賞基準は（ギリギリ）満たしてはいるのだが（そこがまた凄い）、そこで今回気にしなければならないのが、(12)シンハライトと(13)ジュエラーのチューリップ賞上位２頭というワケだ。

去年は超スローからの逃げ切りだった桜花賞だが、基本的には追い込み馬のレース。(５)メジャーエンブレムがクイーンカップのような競馬をすれば、どの馬も太刀打ちはできないが、アルテミスステークスのような流れになれば、桜花賞基準を満たした(５)メジャーエンブレムをも超える可能性、それを示したレースが今年のチューリップ賞だった。

それではチューリップ賞の上位２頭、どちらを上と考えるべきか。チューリップ賞で先着したのは(12)シンハライトだが、その前２走、レース内容も含めると(13)ジュエラーだと考えている。先に述べた「チューリップ賞上位２頭」というのはオッズから推察される一般論。自論ではここがすべて「(13)ジュエラー」に置き換わる。



今回の(５)メジャーエンブレムはペース配分が難しいはず。一番強いのは(５)メジャーエンブレム。勝つ可能性が高いのも(５)メジャーエンブレム。しかしそれは単勝１．５倍に見合うほどの確率ではないし、単勝４．５倍もつくようなら、期待値は(13)ジュエラーのほうが全然上という論法。

それにしても、実際に(５)メジャーエンブレムを正攻法で下して、しかもそのあと阪神ジュベナイルフィリーズ７着、チューリップ賞５着でフロックではないことを証明しているはずの(７)デンコウアンジュ、人気なさすぎじゃない？　アルテミスＳ、「二度と再現ことはできない」という勝ち方じゃなかったよね？



※印や金額は発走の約１時間前に確定。それまでは変更の可能性があります。
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